株式会社リヴァンプ
株式会社リヴァンプ
取締役 執行役員 千田勇一様
【経歴】
2006年ゴールドマン・サックス証券入社。投資銀行部門にて資金調達、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資案件に従事。2009年リヴァンプ入社。主に小売、飲食、サービス、インターネット業界で経営戦略立案、全社企業価値向上支援、マーケティング改革、ブランディング等のプロジェクトに従事。一橋大学卒業。
今の日本に、経営者の需要と供給のギャップが起きていると感じています。私は元々2008年頃から経営者が足りなくなる時代が来ると言っていたのですが、まさに今、そのような状況になっていると思います。一つに戦後に創業し、一人で会社を引っ張ってきた優秀な創業社長の方が高齢になり、事業承継を行うケースの増加です。経営者の引退や交替とともに企業はデジタル化やDXなど一気に変革を迫られるのですが、対応できる人材は圧倒的に不足しています。
これは、日本には経営者として経験を積む場、育てる仕組みが少ないのが原因と捉えています。グローバルに目を向けるとMBAなどリーダー教育をしっかり行う場や、段階を踏んで経営者になるための仕組みがありますが、日本の場合は育てる仕組みがほぼなく、いきなり経営者になる人が多いのです。例えば、創業社長の企業で、内部から抜擢し3年程度で社長に就任するケースを聞きませんか。
今後は、大企業のカーブアウト(戦略的に会社分割や事業の一部を切り離す)も進みますし、さらに経営人材が求められています。
このままだと経験が少ないままに経営に携わるケースが増えるということです。うまくいく場合ももちろんありますが、失敗するケースも多くなります。実際に、いきなり経営者になっても、1回目から成功するケースはそう多くはありません。成功、失敗を含めた体験を踏まえて手掛けたほうが成功確率は高まるのですが、先に述べたように日本には段階を踏んで経営者になるための仕組みが少ないので、グローバルで比較すると成功する確率が低くなり、大きな視点でとらえると日本の国際競争力の低下にも関わってくると考えています。
1つ目は、日本のプロ経営者の先駆けといえる人物が創業者であることです。設立は2005年ですが、総合商社で米国セブン-イレブン買収を手がけ、その後柳井さんの誘いを受けてファーストリテイリングで副社長を務めた澤田貴司、旭硝子から日本IBMを経てファーストリテイリングに入り社長を務めた玉塚元一の二人が創業者になります。創業時からプロ経営者が経営改革を行うのがリヴァンプであり、特にリテールビジネスでは圧倒的な実績があります。
もう少し詳しく説明すると、17年間、プロ経営者集団が経営改革をメインに事業を行っている会社は、恐らく日本でリヴァンプだけだと思います。名前を聞けば誰もが知っているリテール企業のドラスティックな経営改革から地道な改革まで手掛け、圧倒的な成功・失敗含めたノウハウが蓄積されており、これは大きな強みになります。実は当社も、創業当時はノウハウが無く、成功確率も高くありませんでした。そこで会社としての介在価値を高めるべく、2010年頃から経営の技術の体系化を行い、現在では成功と失敗のノウハウをナレッジとして蓄積しています。これは案件が常に多いのがポイントで、もう一回同じような案件をやると、同じようにうまくいくのか、実はたまたまだったのかを検証できるのです。我々はこれを答え合わせと呼んでいます。この経験から、私たちが持つ同等なノウハウをつくろうと思っても、10年以上はかかるだろうということです。リヴァンプにはこのノウハウを直接吸収できる環境があります。
そして2つ目は、圧倒的な「場」が踏めることです。成功・失敗を含めた「場」を踏むことは、成功確率を高めるために必要なポイントです。
例えば小売業界では、無印良品やダイソーなどの最大手の一角は抑えています。実際に大きなショッピングモールに行けば、ほぼ必ず手掛けた企業の店舗があります。また台湾から日本への進出を手掛けた「Gong cha Japan」等の飲食業界や、コンビニ、スーパー、ファッションなど小売業界から、結婚や教育、人材などライフイベント業界、自動車業界、化学業界、エンタメ業界、ヘルスケア業界など幅広く手掛けています。やっていない業界はないんじゃないですかね。この中で、ゼロイチ案件、再生案件、再成長案件すべてで、投資やM&Aなどあらゆる取り組みを行っています。どちらかというと、ITの最先端みたいな案件は少ないかもしれませんが、今の時代や世相を反映している案件や、商売の最先端の案件は豊富にあります。例えば水回りの修理やメンテナンスを行う企業は、私たちから見ると生産性の改善余地も多いし、まだまだ未成熟なサービスなので成長余力を感じています。この業界を、経営側のビジネスとして面白いと感じられる方なら、思いっきり活躍できる環境だと思います。
そして、経営側としての「場」も踏めます。我々の仕事は基本的に創業オーナーや親会社、あるいは機関投資家など会社の持ち主から依頼を受けます。我々の事業スコープが経営の変革そのものなので、発注できるのはオーナーの方のみになります。そして責任を持つ経営側の立場で、経営の問題を解決していきます。ここはコンサルと違う点だと思っています。コンサルは企業の部長が発注者であれば部長の方の問題解決を行うのですが、私たちはオーナーの問題解決を行うので、レイヤーが違います。
まず、私たちは「徹底的な現場介入による経営改革」を譲れないポイントとして掲げています。短期的な経営状況の改善なら、資金調達など財務面からのアプローチ、マーケティングや広告戦略からのアプローチなど手法はいくらでもありますし、外部ブレーンの立ち位置からのアドバイスでも実行できるでしょう。しかし中長期的視点に立った経営改革となると、社長や経営層が行うあらゆるアプローチを実行しなければ継続的な企業の成長は望めません。財務・経理、マーケティングや人事、全てに対して改革を実行するために、徹底的に現場を知り、事業戦略に落とし込んでいく過程を大事にしています。この部分を「芯から」と捉えています。
例えば、リラクゼーションの案件を手掛けるなら、色々なリラクゼーションサービスを受けてこのサービスの良さを考えますし、仮にラーメンチェーンを手掛けるなら、東京中のラーメンをまず研究します。特にBtoC事業はロジックで考えるのではなく、商品と顧客に対する感度を一度実感しないと事業の芯をとらえられないと思っています。実際に、リラクゼーションの案件ではPJメンバーを現場に入れているのですが、知らぬ間にメンバーがセラピストの資格をとっていましたし、私も業界研究のつもりが週に2回プロフェッショナルトレーニングに通う会員になっていました(笑)
また、支援を続けている案件で「カメラのキタムラ」があります。この案件では半分以上のメンバーの趣味がカメラになっています。そこまでのめりこむからこそ、中古カメラはコアなファンがいること、中古市場が活性化すると新品も売れることを実感として掴み、具体的かつ実効性のある経営改革につなげていくことが出来たと思っています。
早いですね。これは自信をもって言えます。グローバルと同じように、何回でも経営にチャレンジできるエコシステムをまずつくり、仮にアサインされた案件でうまくいかなくても、経験を踏まえて次の案件にチャレンジできるのですから。
ちなみに「Gong cha Japan」が日本進出を行う際には、現場を知っているという点から元々同じ業界でSVをやっていた人を社長に立てました。そのメンバーに経営の経験はなかったのですが、代わりに経営面をサポートするメンバー、ファンド関連を担当するメンバー、オペレーションが得意なメンバーを集めて送り込みました。結果として彼は一気にマーケットで認知される人材になり、キャリアも大きく変わりました。
当たり前の話ですが、一人では経営は出来ません。トップだけ入れ変わるケースが多いというのは、日本で経営改革が成功しない要因のひとつと思っています。グローバルで見ると、新しい経営者はスタッフを丸ごと変えますよね。結局人間を動かしていかないと、成功に結び付かないですね。
また経営とは相互リスペクトが基本であることを前提に、チームメンバーもお互いにプロとしてリスペクトする姿勢を重視しています。戦略チームとITチームのどちらが上なのか、事業面からのアプローチとファイナンス面からのアプローチのどちらが大事なのかという議論を行わずに、対等な関係を重視しています。その対等な関係の中で、本当に人を動かすにはどうしたらいいのか、想定される落とし穴をどうクリアしていくのかを、みなで共有しながらプロジェクトを進めています。
我々が持っているノウハウは惜しみなく提供します。さまざまな「場」を経験し、プロ経営者を目指す場所として、リヴァンプという会社を使ってもらえればいいです。比較的抽象度の高いメソッドで経営改革の支援を行っているので、新しく適用できる社会課題やテーマも多いはずです。その中で新たな抽象的な法則を見出して、価値を提供できるテーマや業界を広げていきたいと思っています。
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